RSKラジオ「仏教アワー」をお聞きの皆様、おはようございます。今年もまた一段と寒い冬が続いておりますが皆様お元気にお過ごしでしょうか。私自身も風邪、熱などの病気にかからぬよう日々気を付けております。本日の仏教アワーは岡山市南区箕島の日蓮宗呑海寺修徒・内田智教が務めさせていただきますので、どうぞ宜しくお願い致します。

 昨今のニュースや新聞、情報誌等で伝えられている内容を自分なりに理解、分析をしてみますとある一つのキーワードが考えられるようになりました。それは「使命」という言葉です。それぞれの役職、立場、肩書には行うべき役割があります。その役割を全うして務める事が「使命」であり「責任」であるはずなのですが、こなすべき「使命」を行わず自分達の都合のよい「権利」を使う事ばかりが行われています。今言う権利とは決して自由ではなく義務を行う事の代償に付いてくるものなのに多くの人は権利、権利と意味を履き違えて騒いでいます。
 この私が言う「使命」は社会的役割以外にも家庭や人間関係にも通じるところがあり、家庭においては親が子を育て、子が親を敬う。共に家族同士助け合い、共に家を支える。こういった行動は家庭という集団の根本とる役割ではないでしょうか。そして、人間関係においても互いを尊重し自己の主張と相手の主張を共に考える。当たり前の事ですが自分の命は両親によって生まれます。人間は生まれながら自分以外の他者によって生かされているのですから、自分の役割というものがただ単に自分さえ良ければいいと言うものでは無い事を今一度考えなければなりません。改めて人間関係における「使命」とは、他人との協力による共存ではないでしょうか。

現在の社会情勢を見ておりますと近隣同士の争いや親子間での争い等の様々な乳スが放送されています。ですが私が特に気になるものとして考えていますのが会社等での上司と部下の関係という点です。この問題は特にニュースにもなる事がありませんが、多くの人々が社会に出るとこの関係を持つことになります。それだけ身近な状況だからこそ改めて考えてみてはいかがでしょうか。現在の上司、部下の関係において、世代の違いによる問題という事が一つあげられます。確かにいまの20代前半と言うのはいわゆる「ゆとり世代」と呼ばれる教育を受けた世代であり、間もなく60代となる「団塊の世代」と言われる人々とは様々な面で考え方が違うとされています。これ以外にも「バブル世代」や「しらけ世代」、「氷河期世代」など様々な世代があり社会における人間関係の複雑さを表しています。しかし、どんなに世代が違っても会社というものに関わるなら必ずそれぞれの役割が存在します。新人もベテランも社員ならその会社の為に仕事を全うする、それぞれの役職による仕事を全うする、その中で上司、部下の関係が生じてくる時に上司は部下を指示すると同時にその仕事の責任者となる、部下は上司の指令を受けその指令をこなす。こういったある意味当たり前の役割をこなすことさえ現在の社会は難しくなっているのではないでしょうか。私はどちらか一方が悪いという事はないと思いますが、やはり役割という意味では上司になる人は部下の責任をみるという点において重要な役割を持っていると思います。かの有名な元帥・山本五十六の言葉で人の育て方の基本というものに「やって見せ言って聞かせてさせてみて、褒めてやらねば人は動かじ」と言う言葉があります。この方は明治、大正、昭和と戦中の時代の中、生きて行かれた人にも関わらず、現代の世代の新人教育にも通じる言葉を残されています。それだけ上司の役割というものに対してしっかりとした考え方の持ち主だったと思われます。
世代というものは確かに存在し、世代によって考え方が異なる事は確かにあります。しかし、本来役職や役割が持つ「使命」にはそんな違いはないはずです。それぞれがなすべき事を行う、これこそが社会をより良くするための第一歩なのではないでしょうか。皆様も現在の自分の立場を改めて考え、自分の「使命」を見つけて、その「使命」を全うする事をもう一度考えてみてはいかがでしょうか。

今の私の話は確かに現実社会において実践する事が難しい事だと思います。それは皆様一人一人に自我、自らの考え方や信念があり、単なる物体ではないからです。他人と触れ合う事は自分の心と体に良い物も悪い物も積み重ねていく事になります。良い物が溜まった時に人は良い心となり良い行いをし、悪い物が溜まった時に人は悪い心となり悪い行いをします。だからこそ皆様は人間なのです。これが人間として当たり前なのですが、現代社会ではどうしても悪い事の方が多くなり、このままでは社会が破綻していまいます。
その為、私が言ってまいりました「使命」という言葉をもう一度思い返して下さい。「使命」とはそれぞれの役職、立場、肩書により行う役割があり、その役割を全うする事です。人間良い時だけではなく悪い時、辛い時、悲しい時、様々な時があります。人それぞれには他人が思い付かないような苦労や悩みを抱えている人は大勢おられます。しかしそれでも社会で生きる為には耐えなければなりませんし、社会以外にも家庭や人間関係においても同じです。それが、人間がより良く生きると言う事です。それが「使命」なのです。自らの「使命」を一生懸命全うする。この一つの事を忘れずに今日の務めの励んで下さい。

RSKラジオ仏教アワーをお聞きの皆様、最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。本日は岡山市南区箕島の日蓮宗・呑海寺修徒・内田智教がお話をさせていただきました。これからも寒い日が続くと思いますが、どうかご健康にはお気を付けになって健やかなる日々をお過ごしください。