毎年、全国の保育園児、幼稚園児、小学生を対象に、ある生命保険会社が、「大人になったらなりたい職業」のアンケートをとっていて、その結果が、山陽新聞に載っていました。
男の子がなりたい職業のトップは「野球選手」、2位は「サッカー選手」、3位は「学者・博士」で、いずれも3年連続で同じ順位。女の子のトップは、10年連続で「食べ物屋さん」、2位の「保育園・幼稚園の先生」、3位の「看護師さん」は、4年連続で同じ順位となったそうです。それ以下の順位には変動があったものの、男の子らしい、女の子らしい、夢のある職業が10位まで並んでいました。読んでいて、わくわくしました。そう言えば、自分も小学生の頃、「科学者」になりたいと言っていたようです。
ところが、それから何日か前の新聞には、別の形で高校生へのアンケートがなされていました。「偉い人になりたいと思っている人は?」と言う内容でした。結果は、全体の僅か8パーセントでした。偉い人になりたくない理由は、「責任の重い仕事には就きたくない」というものでした。進路をはっきりと決める時期が来ると、現実的になるのはやむを得ないことでしょう。
自分も、お坊さんになると決めたときは、恥ずかしいことですが、特別な志を立てることはできませんでした。ところが、今ではお坊さんになって良かったと思っています。それは、法華経の方便品の中にある『言辞柔軟 悦可衆心』のお経文に出会えたからです。小学生の頃「科学者」になりたかったのは、きっと人々が悦んでくれる発明をしたかったのでしょう。お坊さんも、人々の心を悦ばせることができます。
ストレスの溜まりやすい現代社会、癒しを求める人は多いようです。
心の散歩道VOL.22(2007年発行)より
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