いのちのつながり

 幼児虐待のニュースが報じられていました。19歳の母親と22歳の義理の父親が、3歳の幼児に十分な食事を与えずに衰弱死させたというものです。幼児の胃の中にはアルミ箔やろうそくらしきものが残っていたそうです。空腹のあまり、近くにあったものを口にいれたのではないかと推測されていました。つらいニュースですが、「またか」と思うほどに幼児虐待の頻度が増してきています。
 調べてみましたら、幼児・児童虐待数は、平成25年は73765件で、統計を取りはじめて以来、23年連続で過去最高を更新しています。
 毎年、幼児・児童虐待数が増えているとはなんとなく感じてはいましたが、23年も前から統計が取られるほどに数が多いとは思いもしませんでした。
 衰弱死した女の子も、誰も助けの手を差し伸べなかったわけではありません。おばあちゃんが何度か食事を与えたようです。しかし、母親から、つまりは娘さんから拒絶されてしまい、それ以上どうすることもできなかったと新聞記事にありました。おばあちゃんと母親との親子関係もうまくいってなかったのでしょうか。19歳の若すぎ
る母親と22歳の義理の父親だけでの子育てでは、一生懸命に頑張ったとしても、いずれ破たんした可能性もあります。
 人と人のつながりが希薄になってきていると言われだして、もうどれくらいになるでしょうか。友達関係も、夫婦関係も、そして親子関係までもおかしくなってしまっています。
「我が身は天よりも降らず。地よりも出でず。父母の肉親を分けたる身なり」とは宗祖のお言葉です。
 いのちのつながりを改めて考え直していかなければなりません。

心の散歩道VOL.30(2015年発行)より

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