先般、檀家の方と総本山身延山へ参拝しました。樹齢数百年と言われる、しだれ桜が実に美しい時で、ありがたいお参りができました。参拝を終えて帰りに泊まった温泉の仲居さんがこんなことを話してくれました。
「こんな仕事をしていると、いろんなお客様のお世話をさせていただきますが、教えられることも多いのです。今日泊まっていただいているとなりの団体さんのお顔と、皆さんのお顔とは、ずいぶん違うのです。本当に信仰されている方のお顔は、こんなにいいお顔になられるのだと感心したのです。お世辞ではありませんよ。言葉づかいも立ち振る舞いも違うのです。私も皆さんのような姿を見習わないといけないと思いました・・・」
と、涙ぐむような顔で話してくれました。うちの参加者の皆がそうだったかどうか分かりませんが、本当に嬉しい言葉でした。
温泉に泊まってくつろいでいるのだからと、お酒が入り宴会が盛り上がってくると、つい大きな声を出したり、暴れたりする人がいます。中には、仲居さんなどを見下したもの言いをする人もいます。人の本性がこんな時にあらわれてしまいますね。
私達の接待をしてくれた仲居さんもいやな思いをされた事がいっぱいあったでしょう。私に話してくれた時に涙ぐんでいたのは、今までの苦労の日々を思い出してのことだったのかもしれません。
「信仰している者が何ですか・・・」などと中傷されたらはずかしいことですね。お寺や家で拝む時だけではなく、日頃の姿に表れてしまいます。
信仰させていただいている者として、常に気をつけなければ・・・と、改めて教えられた思いでした。
心の散歩道VOL.21(2006年発行)より



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