繁華街の裏通りを、女子大生が二人で歩いていました。そこへ1台のワンボックスカーが、近付いてきました。
「おねいちゃん。この辺りでフレッシュジュースを売っている喫茶店を知らない?」と、声をかけられました。
「この通りを行って右に回って3,4軒さきに、ジュースを出している店があります」と、答えました。
「ありがとう」と、言う声を聞いて、二人は車を追い越しました。
「おねいちゃん」と、その車が、追いかけてきて、又、声をかけられました。
「おねいちゃんたち二人。みかん好き?」と、聞かれました。
「ハア?」と、言うと、車から降りて、後ろのドアを開けて、文旦みかんを出して、皮をむいて一袋くれました。
「この文旦は木熟で、そこらの果物屋で売っとる物と違うんじゃ、この前テレビに出て美味しいと評判になった文旦でー、美味しかろうがー」と、言いながら、もう一袋くれました。
「うん、美味しい」と、言うと「このミカン、一個百円で売っとるんじゃー、よかったら買わない?」と、すすめられました。
二人顔を見合わせて、少し食べたので、買わなくちゃいけないかなー、と思いました。
「ひとつ下さい」と、声をそろえて言いました。
「ありがとう」おじさんは一箱持ち上げました。
「おじさん、違うんです。一個です」と、あわてて言いました。
「一個? 美味しいのを一個探すのは、大変なんだがなー」と言いながら一個ずつ、手渡してくれ
「学生さん?学生さんは金が無い」と、つぶやきながら車を運転して喫茶店とは反対の方へ行きました。
二人は、「親切に教えてあげたのに、お金がいったなー」と、一個ずつ文旦を手にして立ち止まっていました。
心の散歩道VOL.22(2007年発行)より


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